恋のデザインは色鮮やかに。
今は倒れた青山さんの隣に立って見下ろしている。


「勝負で負けたからナルを取られたのは仕方ないけど、貸してるだけだから!


変なちょっかい出していいなんて、言った覚えないんだけど」


そう言うレイさんは怒りの針が振り切って、笑みを浮かべている。


胡散臭くて、人間が本能的に危険を感じる笑み。


「ちょっかいを出すなと言われた覚えもないけどね」


それでも言い返せる青山さんって…どれだけ怖いもの知らずなんだろう。


長年の付き合いだと、こういうやり取りに慣れてくるのかもしれない。


「じゃあ、ちょっかい出すな!
言ったからな!
次、変なことしてたら許さねーからな!


あと、ナルの貸し出し期間は3カ月って話らしいけど…。
長すぎる。


だから勝負だ。
次の展示会、お前も出すんだろ?
そこで俺が勝ったらナルを返してもらう。
もう2度と貸し出さない」


「じゃあ、僕が勝ったら…

成瀬さんを2度と秋野には返さない」


「上等だ」


ニヤリと笑ってそれだけ言うと、レイさんは帰って行った。


レイさんはここに宣戦布告をしに来たらしい。
なんと荒々しい。
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