恋のデザインは色鮮やかに。
楽しそうに歩く2人に肩を組まれながら、囚われた俺は仕方なく足を進めた。


なんでこんなにテンションが高いのかが理解できない。


そうして着いたのはジャズが流れる薄暗い店。
そこのカウンター席に座って、俺はオレンジジュースで乾杯をする。


「レイ君のイラストは注目を浴びてたね。
これからもよろしく頼むよ。

うちの会社はレイ君の支えがもの凄く大きいからね」


「お父さんがそうやってレイに甘いことばっかり言うから、この男は仕事しないんでしょ。
そのくせ、担当には無茶なことばっかり言って。
新しいレイの担当、また1週間も持たずに辞めちゃったじゃない」


「まぁ、それは問題だな。
また新しい人を探さないと。」


「もういっそのこと担当無しでいいんじゃない?」


「それだとレイ君が本当に仕事をしなくなっちゃうし、担当の代わりに僕の仕事が増えてしまうよ」


「じゃあ、レイが探せばいいじゃない。
それならレイも文句はないでしょ?」


「レイ君に探せるわけないよ。
外に出ないし、出たとしても人とコミュニケーションをとらないから」


さすがは親子。


俺が隣にいるというのに、好き勝手に軽快なトークを繰り広げてくれる。
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