恋のデザインは色鮮やかに。
振り返るまでの間にそんなことが一気に頭を駆け巡った。


そして声の主を見ると、やはりあの男の人だった。


初対面だというのに、グサグサと私の心を土足で踏み荒らしたあの人。


髪を軽く整えているせいか、あの時とは少し印象が違って見えるが間違いなくあの人。


「神社で滑った人」


「どんな覚え方してるんだ」


私のなかではそこが印象的だったんだから仕方がない。


「まぁ、それはおいといて。

言っておきますが、私が今日ここにいるのは仕方なくです。
お酒を飲んで騒ごうなんて考えは一切ありませんから!」


なんだか言い訳みたいになってしまったが、合コンしているとは絶対に言いたくなかった。


この人は私が就職できていないことを知っているだし、そんな人に遊んでいると思われて小言を言われたら癪だ。


…実際、遊んでいる訳なのだが。
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