茜空にあなたとあたし
「篠田さん」


「え?」


パッと振り返ると碧くんだ。



「今日、練習長引いたからさ。あとやっとくから暗くなる前にもう帰りなよ」


胸が熱くなる。


「ありがと…大丈夫だよ、あとちょっとだし」

ドキドキしちゃって碧くんのことちゃんと見れないや。


「大丈夫じゃないよ、篠田さん…危ない目にあって欲しくないよ」


碧くん。
優しくしたらダメだよ。

好きが溢れる…


「由奈先輩みたいな人ならともかく、あたしなんか…誰も狙わないって」


由奈先輩に嫉妬しちゃって…あたし惨めだ。


「なんかじゃないよ、篠田さんは」


腕を掴まれた…
碧くんがあたしを自分の方へ向けた。


「そんなに言うなら…そんな…に言うなら…碧くんが送ってよっ」


逆ギレなあたしは子どもかぁ⁉︎
自分を殴りたい。


「なーんて、冗談だよ?」


舌を出してちゃらけて見せた。


「サッと終わらせて帰るね。碧くんありがとう、お疲れ様」


あたしは急いで整備用のトンボを引っ張って歩いた。
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