茜空にあなたとあたし
頭が真っ白だ。


碧くんに今日は近づけた。
あたしの腕を掴む碧くんの大きな手や力強さはやっぱり男の子だった…



部室で着替えながら碧くんの顔を思い出す。

心配してくれたのかな…碧くん。


張り裂けそうなあたしの小さな胸のボタンをとめた。


みんなが帰った後だからあたし1人。

部室の鍵をかけて振り向くと人影が。


「えっ?碧くん?どうしたの?」

「だって…篠田さん、送ってよって言ってたじゃん」


碧くん、律儀だな…


「え?そうだけど…冗談だよって言ったじゃん…」


頭が花畑というより花が咲き乱れていく…


「や、うん…篠田さんなんか怒ってる?って気になって。心配だったから」


碧くん…ごめん…

あたしが由奈先輩のことで変な態度とっちゃたから…


「ありがと…」

夕暮れじゃなかったら顔が真っ赤になってるのきっとバレバレだっただろうな。


「帰ろっか」


碧くんが少し覗き込んで言った。


帰ろっか…ってなんて素敵な響きなの?

ドキドキしすぎて酸欠になりそうな体に深く息をして酸素を送り込む。



「職員室に鍵返してくるね」

駆け足で職員室に向かう。


鍵を返して戻る時、朔が見えた。

碧くんに何か話しかけた。


朔がいたらあたし碧くんに送ってもらえない…


こっそり隠れて見ていると朔はそのまま手を振って帰って行った。


ホッとした…

「ごめんね、碧くん」

あたしは小走りで碧くんのところへ戻った。


「碧くん、逆方向なのにごめんね」

嬉しいけどわがままにつき合わせてしまっているわけだよね。

ほんとによかったのかなぁ。











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