茜空にあなたとあたし
「美雨ちゃん、悩んでるよ」

なんで、こいつこんな冷静なんだよ。

正直、碧が彼氏っていうことを俺はまだ受け入れられていない。だから、美雨のことを俺の方がよく知っていて碧より上だとどこかで思っている。


「知ってる…」

お前に言われなくてもわかるっつーの。
何年一緒にいると思ってんだよ。

ということは、碧もキスのこと知ってる…ってことだよな?


「怒ってねぇの?」

俺は探りに入る。

「何を?」

顔色ひとつ変えない碧。

だけど、目は笑ってない。


「だから…」

頭を掻きながら、言い淀んでしまった。


「うん、怒ってる」

真っ直ぐ俺を見た碧の表情に、静かな怒りを感じ取ることができた。


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