茜空にあなたとあたし
茜空
碧くんがあたしを家に送ってくれてから、朔とどんな話をしたのかはわからない。


朔との思い出と、碧くんへのときめきの狭間で揺れ動く心を抱えたまま…

あまり良く眠れなかった。


今まで登校は朔と一緒なことがほとんどだった。でも、昨日からあたしは1人で登校している。

今日も朔には会わず学校への道のりを半分ほど過ぎようとした、その時…


「おはよ」

後ろから声をかけてきたのは、

「碧くん…おはよ」

風でフワフワしてる髪の毛に、少し眠そうな瞳にかわいい頬っぺたのえくぼ。


「あ、昨日…あれから…うわっ」

碧くんに昨日のことを聞こうとした時、後ろからリュックを引っ張られて膝がガクッとなった。


「よぉ、相変わらずデカいリュックだな。あ、美雨が小さいだけかぁ」


いたずらっ子みたいな顔で笑ってる…


「朔…」


やだ、涙が出そう。
視界がゆがんで目の周りが熱くなっていく。


「何泣いてんだよっ。お前は笑ってないと見てられない顔なんだから…イテッ」


思い切り朔の肩をグーでパンチした。


「美雨はそうじゃないとな」

頭を手でポンポンとして笑った。




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