きっと君を探すから〜kiyoto〜














父親が休みをとって鈴宅の荷物を車の荷台に乗せる手伝いをしてるのは知っていた。


けれど清人は布団から出れずにいた。



「いつまでもいじけてったって仕方ないでしょう」

母親の声が聞こえて

布団を頭まで被る。


そんな言葉

聞きたくないし

荷物を荷台に積む手伝いなんかしたくなかった。


準備が早く終れば終わるほど

鈴はこの町から

清人から

離れていくのが早まってしまうから…


清人なりの


無駄な抵抗だったんだ。



それでも、お昼頃になり

「そろそろだぞ‼」と父親の声が玄関から聞こえたら清人は布団から飛び出して15分ほど先にある鈴の家へと走った。



こんなに悲しいのに

こんなにつらいのに


所々庭から見える桜の花びらが鮮やかなピンク色に染められて

鈴への道は

悲しいくらい綺麗な

花道のようだった。


遠目に

鈴がおじさんに助けられながら車の荷台に乗せられるのが見えて

思わず

その名を叫んだ‼



「鈴っ‼‼‼‼」





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