きっと君を探すから〜kiyoto〜


「自分の会社の社長の名前を忘れるわけがないだろ。


田畑だよ


田畑社長だよ。」



「えっ…?」


驚いた俺を「どうしたんだよ?」と父さんは笑う。


「た、田畑なにっ?名前は名前!

下の名前だよっ‼」


「なんだよお前…引退した社長様に興味でもあるのか?」とからかう父さんに

俺は本気で


真剣に聞いた


「下の名前は⁉知ってるの?知らないの⁉」


あまりにも必死に聞いたせいか

父さんが戸惑いながら少し考えた様子で、顎に手をおいた。



「あー…えっと…


なんだっけかな…


確か

うろ覚えだけど…

たしか…


田畑…


田畑…


あっ…

そうだ


大地だ。


田畑大地社長だ!」と

思い出してスッキリした様子の父さんの言葉を聞いて


俺は


手に持っていた写真をパラパラ落としてしまった。






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