きっと君を探すから〜kiyoto〜


「映画のチケットを戴いたんだけど、よかったら来週末にご一緒しませんか?」



それは、あまりにも簡潔で、短文なメールだった。


けれど、俺はそんな2行のメールに飛び跳ねるほど喜んでいた。


「どんなジャンルでも、映画はだいすきです。ぜひ、ご一緒させて下さい。」


返信用のたった2行のメールを送信前に何度も見直す。


文章が固すぎるだろうか?

だからと言ってくだけた文を送り、嫌われてしまったら困る。


その返信を送るのに10分以上の時間がかかってしまった。


送信ボタンを押す時なんかは本当に、手に汗が滲むほど緊張したのを、今でも鮮明に覚えている。



趣味が合うからといった理由のデートを数回。

誘ってくれるのはいつも山本春菜先生からだった。

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