きっと君を探すから〜kiyoto〜
最初はそれだけで、充分に幸せだった。
何度かそういうのを繰り返していくうちに、欲を出していったのは俺のほうで
何度目かの映画デートの別れ際、いつも映画館前で待ち合わせて
映画館前で別れる。
それを淋しく感じてしまった俺は、とうとう自分のわがままを先生に伝えてしまった。
「もう少し…もう少しだけ一緒にいたいです。」
それを聞いた先生は、驚いた顔をしたものの、少し恥ずかしそうに笑って見せた。
微笑んだ時の目尻の皺だったり、綺麗に短く整えられた爪先だったり
頭の下の方で束ねられた長い黒髪だったり
若い女性にはない清潔感だったり、清楚感はとても彼女の魅力的にしていた。
だけど、俺が1番大好きだったのは
隣で映画のスクリーンを見ている彼女が、笑ったり泣いたり子供のようにころころと表情を変えて
感情のままに素直に映画を観ているその横顔だった。