きっと君を探すから〜kiyoto〜

「それなら帰るぞ」

歩きだした清人の手を鈴がギュッと握りしめたから

少しだけ気恥ずかしくて


だけど、ちゃんと繋がっている。

それが嬉しくて、清人は何も言わずにその手を握り返した。










父さんに呼ばれて、俺は飛行機と電車を乗り継いで、昨日の夜にようやくこの町に着いて父さんの働く車の部品工場で仕事の手伝いをさせられていた。



ついこの間、連休をもらったばかりで、また連休が欲しいなんて、さすがにバイト先の上司に叱られるかと思いきや

「そのまま社員として雇われたほうがお前のためじゃないか?」なんて笑ながら許してくれた。


結局、どこにいたって俺は必要とはされていないのかもしれない。



ただ、もくもくと重たい荷物をトラックに積み


トラックから運ばれて来た荷物をおろす。

そんな仕事を半日やって


身体中が筋肉痛でぼろぼろだった。



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