きっと君を探すから〜kiyoto〜
「あーっ‼もう勘弁してくれよ…。」
父さんの借りてるアパートに着いた途端、寝転がった俺を父さんは笑う。
「若いのにだらしないな。
始めての土地だろ?1週間後には帰るんだ。暇な時間に観光すればいい。」
「観光?こんな田舎を?」
田舎なら夢の中でたくさん歩き回っている。
それに、身体が筋肉痛で歩く気にもならない。
「無理だ。歩けない。それより晩飯は?」
「これから買い物に行って作るんだよ」
「はっ?マジで?父さん自炊してるの?」
「当たり前だ。単身赴任で二重に生活日がかかってるんだから」と、車の鍵を持って出て行く。
それを見て、少しだけ心が痛んだ。
父さんは、仕事で家を留守にしていて
俺たち家族のいない場所で好き勝ってやってるんだろうと…
父さんの苦労も何も考えずに過ごして来た。
見えてないけど、見えてないからこそ、父さんはちゃんとシッカリ家族の事を考えて生活してるんだな…。
と、考えさせられて
夕暮れの窓の向こうの景色を眺めた。