俺たちの妹・2
「私は入らないからみんなで楽しんできて?」


みぃはやんわりと断った。

「せっかく水着に着替えてるんだし、少しだけでもどう?」

石本さんはめげずに聞いてきた。

司さんに視線を移したみぃ。

俺も思わず視線を向けると、難しい顔をしていた。


「………誘ってくれて嬉しいんだけど、私、体調崩すと戻るまでに人より時間が掛かるから、止めておくね。みんなは楽しんできて?」

今度はきっぱり断ったみぃ。

「そっか……分かった。無理言ってごめんね」

石本さんは、今度はすんなり引き下がった。

みぃに辛い思いはして欲しくないと思ってくれたんだろうか……

「私こそ一緒に遊べなくてごめんね」

「気にしないで。ここに一緒に来てくれただけで十分」

石本さんは、笑顔を見せて答えてくれて、みぃもホッとした様だった。



みんながプールに入って遊んでいるのをプールサイドにあるベンチに座ってみぃと見ていた。



「みぃ?」

「なぁに?」

「ほんとは入りたかったんだろ?」

「ふふ。少しね。でも体調崩すのは嫌だから、止めておく。このお出かけを許してくれた、かな兄やひな兄が後悔しないためにも、私は元気に帰らなくちゃいけないからね」


………こんな事でも自分の気持ちより人のことが優先か……


でも、そうする事がいいって事をみぃはよくわかっていた。





「ケホッ………」

「みぃ?」

「へーき。少し咳が出ただけだから……」


このお出かけもみぃにとっては、無理をする対象だったのかも知れない。
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