俺たちの妹・2
ゴホゴホ…ゴホゴホ…スー…ゲホゲホゲホゲホ…ハー…

必死に呼吸をしようとしているけど、なかなか出来ないみたいだ。

美晴の目に涙が溜まっている。

苦しいんだろうな………


早く楽にしてあげたい。

「みぃ。吸って〜吐いて〜」

葵は絶えず声を掛けている。

今の葵にできる事はこれくらいだもんな……


「美晴、酸素マスク着けるよ」

声を掛けてから酸素マスクを着ける。

「点滴刺すね」

美晴は咳き込みながらも大人しくしてくれていた。





俺が到着して既に15分……

結構長引いてるな……


「みぃ、ゆっくりだよ〜」

ゴホゴホ…スー…ゲホゲホ…ハー

葵の声に励まされて、少し落ち着いてきた。

やっぱり美晴には葵が不可欠な存在なんだな……

ベッドにぐったりともたれる美晴を見ながら思った。



「美晴、辛かったな………でも落ち着いて良かった。少し診察するね」

呼吸が落ち着いたのを見計らって聴診する。

まだ喘鳴は消えていない。


まだ起きる可能性はあるな……

「ん、また発作起きるかも知れないから、すぐに知らせてね」

俺の言葉を聞いて美晴はかなり怯えた表情をした。

よっぽど苦しかったんだろう………


「大丈夫。すぐに駆けつけるから。葵も今日は側にいてくれるからな」

葵を見つめてホッとした表情をした美晴は、俺を見て


「ひな、にぃ……あり、がと」

「俺は医者として当然の事をしただけだよ?お礼なら葵にかな」

「あ、おい……あり、がと」

「みぃ、頑張ったね」

葵はそっと美晴の頭を撫でた。
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