俺たちの妹・2
そんな事を思ってるうちに、いつの間にか、葵に抱きかかえられて、車に乗り込んでいた。

「みぃ、大和さんが診てくれるって」

「まとくんが?……」

「まとくん?」

「まとくんと初めて会った時に、つーくんみたいなあだ名つけてって言われたの。」

「ふふ、そうなんだ」

葵は、落ち着いて私の話を聞いてくれていた。

だから私は体は辛かったけど、気持ちは穏やかになれた。


「まとくん……優しいかな……」

「優しいよ。大丈夫」

「そうだよね……」

でも初めて診察してくれるまとくんは、どんな感じか分からないから緊張する。

「俺も一緒にいるから大丈夫だよ」

「ありがとう」

「さ、行こうか」

そう言って私を抱き上げた葵。

怠い体を動かそうとするけど、なかなか上手くいかないな……

「辛いでしょ?俺に預けてて?」

そう言って、私を軽々抱き上げる葵。

ほんとは降ろして欲しいけど、降ろしてもらっても歩けるか分からないからもう、いっか……

私は葵に体を預けた。



コンコンコン

「どうぞ」

中からまとくんの声が聞こえた。

「失礼します」

「葵、みぃちゃん待ってたよ」

優しい笑顔で迎えてくれたまとくんに、少し緊張がほぐれた気がした。

「突然すみませんでした。頼れる人が今は大和さんしか病院に居なくて……」

「いいよいいよ。日向出張中だもんな……司は休みみたいだしな……
俺はみぃちゃんなら大歓迎だよ」
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