俺たちの妹・2
「まだ、初期の段階かな………」

「初期?」

「とりあえず先生の診察受けてもらいましょう。辛そうなので、優先的に回しますね」

「ありがとうございます」

彩の側に行くと、眠れてはいるものの、顔色は酷く悪かった………


「彼方先生……診察室までどうぞ」

青山さんが声をかけてくれた。

「彩、彩?起きれそうかな?病院に着いたんだけど……」

「ん………かな、た?」

「うん、病院に着いたよ。起きれそう?」

「うん……あれ?」

彩は起き上がろうとしているけど、体に力が入らないみたいだった。

「抱き上げるね……」

俺は彩を抱き上げて診察室へ向かった。


「おぅ、彼方〜。お前もとうとうパパになるんだな」

学生時代に友達だった守山祐樹(もりやまゆうき) が担当医になってくれている。

腕は確かだから、安心している。

「彩のツワリが酷い気がするんだ。身内だからって甘く見てるつもりはないんだけど、どうだろう?」


「彩ちゃん、ちょっとごめんね」

祐樹は診察を始めた。

「彼方、彩ちゃん、水分取れてる?」

「いや、ここ数日はすぐに吐いてしまうから取れてない」

「そっか………少しの間、入院して点滴した方がいいよ。彩ちゃんの症状は、妊娠悪阻『にんしんおそ』だな」

「妊娠悪阻?」

「うん、ツワリの酷い版で、病気扱いになるんだよ……」

「ツワリの酷い版………」

「彩ちゃんの症状は妊娠悪阻のなかではまだ軽い方だから」

「これで軽い方なのか?」

「妊娠悪阻の中ではね。ツワリの中では大分重いよ」
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