俺たちの妹・2
「とりあえず水分取れてないのはマズイから、点滴するね……あと吐き気どめも入れておくから……あやちゃん」

そう言って、彩を起こした祐樹。

「ん……ゆ、きくん?」

「そう。今辛いよね。少し楽にしてあげるから、点滴するね」

「…………うん」

「彩ちゃん、赤ちゃん元気か後で診ようね」

「うん」

彩の顔が少し顔がほころんだ気がした。





祐樹は点滴をして彩のお腹をそっと触った。

「彩ちゃん、心音聞く?」

「聞きたい………」

「わかった。青山さん、よろしくね。
彼方は初めて?」

「……………初めて」

妊娠が分かった時も検診も、まだ一緒に行けてなかったから、実際に赤ちゃんの心音を聞くのは初めて……

我が子が生きてるって証だよな………


青山さんが機械を用意してくれた。

「彩さん、服少しめくりますね」

そう言って、服をめくり、お腹にジェルと機械を当てると……



ドッドッドッドッ…

「赤ちゃん、元気ですよ。ママも今は辛いけど、赤ちゃんの心配しなくていいからね」

青山さんの言葉に彩の目から涙がこぼれた。

「……………はい」

彩は、不満は言わなかったけど、頑張ってたんだもんな………

「彩……ありがとう」

「かなた……」

そっと彩を抱きしめた。
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