俺たちの妹・2
「気にするな」

そう言って私の頭を撫でてくれた。



ピピ、ピピ、ピピ

いいタイミングで鳴った体温計。

スッと引き抜かれたので、表示はみえないまま。

「う〜ん……まだ良くはなってないかな…」

苦笑いのひな兄。

きっとあまり変わってないんだ……


「…………はぁ」


思わず零れ出たため息。

「桜がいいなら診察して、点滴する事は出来るけど……
好きじゃないだろ?診察」


「っっ⁉︎ どうして?」

「見てたら分かるよ。診察が嫌いな事ぐらい」

司もひな兄もどうして私の気持ちを汲み取ってくれるんだろう……


どうしよう………

いくらひな兄だからって、司以外の人に診察される恐怖がある。

ひな兄もきっと優しいと思う。

だって、今もこうして私の意見を聞いてくれてるんだもん。

無理やり怖いことはしない事は分かる。


でも、やっぱり怖いんだよね……


「…………診察、しない」

「はは、そっか〜。俺は司さんじゃないもんな〜。分かったよ。じゃぁ、薬はしっかり飲むんだよ」

「うん。ひな兄、ごめんね」

「気にしなくていいよ。薬はあるんだから、桜がやりたいようにするのがいいしね」


ひな兄は、あまり気にしてる様子もなく、私に笑いかけてくれた。


心が広い人って、きっとこんな感じなんだろうな……
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