俺たちの妹・2
病院へ着くと救急外来の入り口で司さんが待っていた。


「葵、ありがとな」


「いえ…」

俺の腕の中にいるみぃを覗き込むと険しい顔をした司さん。


「急ごうか」

そう言って、ストレッチャーを運んできた司さん。

みぃをそっとストレッチャーに乗せると、処置室へ運ばれて行った……




俺がみぃを興奮させちゃったんだろうか……


みぃの気持ちに寄り添えていれば……

後悔ばかりが駆け巡る……




「葵」

後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。

振り返るとひな兄がいた。


「葵、ありがとな。美晴、連れて来てくれたんだろう?」

「でも……こんな事態にさせたのは俺が…」


「葵は悪くないよ。司さんから少し聞いたけど、家飛び出したんだって?普段の美晴から想像出来ない事だから驚いただろ?」

ひな兄は苦笑い。

「ほんとビックリした。まさかみぃにあんな行動力があるなんて思ってなかったし」

「ほんと稀だけどね。たまにあるんだよ。突拍子もないこと」

「油断…してた気がする。みぃは家に居るって」


「いやいや、普通はそうだから」

ひな兄は笑って俺の気持ちを和ませてくれた。



「みぃ……大丈夫かな」


みぃの顔を見るまでは安心出来ない。
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