俺たちの妹・2
葵の運転で久しぶりの我が家へ戻った。

「みぃ、気分悪くない?」

「うん、大丈夫。葵、運転ありがとね」

「気にしなくていいよ。かな兄達と合流して、お祝いするんだろ?俺も参加するしね」


エレベーターに乗り込み、2人の空間が出来上がった。


「みぃ……」

「なぁに?」

葵に視線を向けた瞬間……




チュッ



突然キスが落ちてきて抱きしめられた。



「あの日、意見が食い違って、みぃが俺から離れていくんじゃないかって、正直不安になったんだ。
でも、ちゃんと俺の元に帰ってきてくれたね。ありがとう」

「それを言うなら、私の勝手なワガママで、葵を不安にさせてごめんね。
私から離れないでいてくれてありがとう」



エレベーターの中には、甘い空気が流れていた。



エレベーターが止まり、私たちは手を繋いで降りた。


こんな事が出来るのも退院出来たから。

小さな事で幸せを感じられるのは、何気ない事が普通に出来ないから……


葵は、大切な人だから、幸せになって欲しい。

それが一番の願いなの。


そんな事を思うと、自然とキュッと手を握ってしまった。


「ん?どうしたの?」


些細な変化に気づく葵は、やっぱり凄い。



「こうやって、手を繋いで歩けるのって幸せだなって……」


「そうだね。俺はどんな場所でも手を繋げるのは嬉しいけどね」

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