俺たちの妹・2
この一週間はいつもと変わりなく平和に過ごせた。


今日から葵は実習。

一緒に登校出来ないのは寂しいけど、葵も頑張ってるんだもんね。

私も頑張らなくちゃ。


『みぃ、おはよ。今日から一緒に行けないけど、実習頑張ってくるな。ひな兄や悠斗達に頼るんだよ』

こんなメールが朝から届いて、検診で憂鬱だった気分が少し上がった。

「美晴、おはよ」

ひな兄のいるリビングへ行くと、ひな兄は、朝食の用意を済ませてくれていた。

「ひな兄おはよ。さっき葵からメール来たの。葵も実習頑張ってるから、私も検診頑張るね」

「おっ‼︎ いい心掛けだな。病院で葵と会えるといいな」

「そっか、実習してる葵に会えるかも知れないんだ。なんだか楽しみになってきた」

ひな兄も医学生の頃、今の病院へ実習に行ったって言ってた。



毎朝の日課の診察を済ませると、ひな兄は少し難しい顔をした。

「ひな兄?」

「ん?あぁ、美晴少し無理してない?」

「え?」

そんなつもりが無かったからひな兄の言葉に驚いた。

「少し音が良くないよ。どこか辛いところはない?」

「大丈夫だよ。いつもと変わらないよ」

そう言ってにっこり笑うと、ひな兄は私をジッと見据えた。

でも本当にいつもと変わらない……

「うそじゃないよ?」

「分かった。美晴の言葉を信じるよ」

ひな兄の優しい笑顔にホッとした。







だから、



「…………美晴のなかでは感じない事なのかも」


こんな言葉を呟いてたなんて知らなかった。
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