ラスト・メモリー


そして、いつものように体育館の入り口から先輩を見ようとすると



「…ほんと橋本って物好きだよな」



後ろから聞きなれたアイツの声がした。



「…うわ、今川瞬!」


「なんでフルネーム」



こいつ、今川瞬は私のクラスメート。
先輩と同じバスケ部で、以外と女子に人気のあるヤツ。

スポーツもできて、勉強もできて
…認めたくもないけど外見もいい
文句無しの“イイ”男。


でも、私は今川瞬が大の苦手。


だって



「お、いま、先輩シュート決めたぞ」

「えっ、うそっ?」

「嘘だよばーか!探すのに必死すぎ。
今川先輩、今日休みだし」



こうやって、いつも先輩の事でからかってくる。私は真剣なのにい!



「ーーっていうか!
先輩って今日休みなの!?」


「なんか学校は来てたらしいけど、部活は来ねーって」



そっか。そうなんだ...

ここにいても意味ないし、絵を描きに行こ

そう思って、美術室に向かう。



「バスケ部見て行かねーの?」


今川瞬がいつ取りに行ったのか、ボールを片手に聞いてきた。



「だって先輩を見に来たのに、いないんじゃ意味ないから」

「…あっそ」


聞いてきたのはそっちなのに、
あっそってなによ!


私は、今川瞬に全力のあっかんべをして、その場を去る。

お前女じゃないな、って声が聞こえたのはきっと気のせいだ。


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