冷蔵庫サイドストーリー
「そうか、じゃあ携帯番号を……」

「持ってないよ」


持ってない?!

今時携帯電話を持ってない高校生がいたのか……

いや、どうせこいつの事だから小遣いを全部食べ物に使って携帯代が払えないとか、そんなとこなんじゃないか。


「なら、明日の放課後に学校まで迎えに行こう」


僕がそう言うと、シグマの顔がぱぁっと明るくなった。


「マジで?! なんかデートみたいだね。じゃ明日正門前ね」


シグマはそう言って鞄を引っつかむと、無邪気な笑顔を残して駆け足で部屋から出て行った。


デート……

男子高校生が相手だと、胸弾むとまでは言わないが、なんとなくまた明日会う事を心待ちにしている自分がいた。


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