そんなに見ないで、













9時ジャストになると校内の鐘が重く低く響いた。










すると、小さい雲に乗った立派な髭をたくわえた、小さなおじいさんがステージの上に浮かんだ。











「では、これより。入学式を、始めます。校長先生より、お言葉、頂戴いたします。」











小さいおじいさんの割には大きな高い声で、区切り区切り慎重に叫んだ。











言い終えると、人並みの大きさの手紙の中に現れたおじいさんが、ニコニコしながら静かに現れた。











「皆さん、ご入学おめでとう。
これから3年間頑張ってください。」











みんな、真面目に聞こうと背筋を伸ばした。












「以上じゃ。」











そう言われてみんなの背筋はぐにゃっと戻った。











校長はそれを予兆していたかのようにその姿を見てから歩いて下がっていった。











みんな身近に友達がいる人たちは、












やっぱりあの人が校長だったのか。












と囁いていた。











「これで、入学式を終了いたします。」











先ほどの司会のおじいさんがまた出てきてそう言うと、










パンのような小さい手で杖を持ち、杖を少し振った。










すると、生徒の目の前に白い紙が現れた。











手に取ると文字が浮かび上がった。











それは、買い物リストだった。
(心優しく商品名の隣に買えるお店に値段まで書かれてあった。)













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