そんなに見ないで、
「明日までに買い揃えること!」
そんな無謀なことを言い終えると、以上。と叫んで逃げてしまった。
先生らしき大人の人が会場から消えると、皆ブーイングの嵐が静かに広がっていった。
「麗、これ全部揃えんの?」
後ろの席だった清弥が後ろから先ほどもらった紙を、ひらひらとなびかせて言ってきた。
急な呼び捨てに心がとびはねて、反応が鈍くなってしまったが、すぐに、
「いきなり呼び捨てなわけ?従者のくせに生意気ね……。」
「従者のくせにって、俺ただの専属護衛だし〜」
「それ「ただの」ってつけるとこじゃないわよ。」
一応、お嬢様育ちだが、常識はある方だ。
「従者とか言ってのけるのは、お嬢様だけだぞ。」
「そんなことないわ。」
彼女は少し機嫌が悪そうにそっぽを向いた。
そして立ち上がり、みんなが席についている目の前を通っていった。
「どこ行くんですか?」
「何言ってるのよ。買い物に行くのよ、付き合いなさい。」