今日も鈍感な君に振り回されて
それ、どういう意味で言ってるの?
『それ、どういう意味で言ってるの?』
顔を上げたと思えば、
口を開いたと思えば、
すっげー真面目な顔で問いかけてくる由香。
『由香、万年、片想いなんだろ?
だったらそいつから俺に乗り換えたって問題ないじゃん!』
俺は笑って、そう言ってみる。
だってマジな顔で言ったら、俺が実は本気だってバレるかもじゃん?
だから笑って言ってみたんだが…。
『諭、好きな人がいるんだよね?
好きな人がいるのに、そういうことしたら人間性を疑われるよ?
それに……救済目的で付き合ってもらっても嬉しくないよ!』
バカで鈍感でガキ、のくせに。
言うことだけは偉そうで。
『じゃ、俺の好きな奴がお前って言ったら?』
心臓のドキドキが加速していくのが自分でもわかった。
かろうじて由香の目を見つめられていたけど、由香はしばらくして再び俯いていく。
『……本気じゃないくせに。
救済目的なんかで諭に付き合ってもらわなきゃならないほど、困ってないんで!
てか、そういう台詞は本当に好きな子に言わなきゃダメじゃん!』