今日も鈍感な君に振り回されて


あっという間にきた、放課後。



俺も由香も運の悪いことに部活が休み。



いつもならどちらとも声を掛けなくても、なんとなく教室を出るタイミングが一緒で、いつの間にか一緒に帰ってる。




けど俺はいそいそと教室を出て行く。






『……諭…!』



廊下に出る一歩手前、由香に呼びかけられる。




振り向けずにいる俺の元に由香が小走りでかけてきて、


『今日は……一緒に帰らないの…?』



そう、問いかけてくる。




『俺、救済するつもりないんで。
 救済してくれそうな方とお帰りになればどうですか?』



それだけ、

由香に言えた、言葉。



強がってないと、

虚勢を張ってないと、

由香に振り返ってしまいそうで。





『………あのさ、諭。
 私、なんか諭にしたんだよね…?
 何したか…教えてくれない……?

 昨日と諭の態度、違う気がする…』




バカで鈍感でガキ、のくせに。


俺の想いには気付けないくせに、

俺の態度には気がつくのかよ?





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