今日も鈍感な君に振り回されて
『……知らない』
俺はそう答える。
由香が家に帰っていない…
壁に掛かっている時計を見ると既に午後8時を回っている…
中学生の女が一人街を歩いていれば補導されるだろうし、友達の家に行くなら一言、親に言ってるだろうし…
由香が帰っていない理由。
由香が居そうな場所…
俺に分かる訳がなくて、
でも惚れた弱みも混じった、人間の情、なんだろう。
『とりあえず、俺、近く見てくるよ!』
俺はそう言うなり、部屋を後にする。
何やってんだよ、あのバカ女!
どれだけ人を不安にさせんだよ、あの鈍感女!
少しは人の迷惑を、俺の迷惑を考えろよ、あのガキ!
飛び出したはいいものの、由香が行きそうなところなんて検討もつかない。
とりあえず学校まで俺は走る。