今日も鈍感な君に振り回されて
その子、そんなに想われて幸せだね
『ね、教えてよ、諭!』
少々興奮気味の由香に軽く溜め息。
『どんな奴……
そうだなー、バカ、鈍感、ガキの三拍子揃った奴!』
バカで鈍感、子どもっぽいお前。
由香を3単語で表現するならぴったりだ。
『えぇ~…諭って趣味悪い。
普通はさ、頭脳明晰、容姿端麗、スポーツ万能の三拍子じゃない?』
由香は明らか戸惑ってる様子。
『お前さ、漫画やドラマの見すぎ!
庶民がパーフェクトな女と恋に落ちるなんてまず有り得ない話だから!』
『え、そんなことないよ!
だって私の好きな人は頭いいし、格好いいし、走るのなんてめっちゃ速いよ?
私、彼の走る姿を見てるのが好き!』
満面な笑みで答えてくれるのはいいけどさ。
今、思いっきり“好きな奴いる”って言ってるけど。
『やっぱいんじゃん、好きな男』
俺の言葉に由香は“あっ”と言って手で口元を隠した。
それ、その行動も普通に言ってるよ。
『で、でも!
今の私は自分の恋よりも諭の恋を応援すんの!』
ムキになって言う、その姿も可愛く、愛しく思える俺はマジで重症だ。