今日も鈍感な君に振り回されて





『諭、本気でその子のこと、好きなの?』




由香は俺の言葉に疑いの目を向けて、そう問いかけてくる。








『好きだよ?』






『えぇー信じられないよー!
 だって好きな人を以下とか』

『信じてもらわなくても結構です。
 俺の気持ちなんだ、由香にどう思われてもかまわないよ』




俺は由香の言葉を遮る。


遮られた由香は口をパクパクしている。







『俺の好きな奴はどうしようもないバカだよ?
 数学なんていっつも赤点だし、英語なんて指されるの事前に分かってるくせに予習してこないし、そんでいっつも俺に“ノート写させて”とか言ってくるしさ』





『俺の気持ちなんて知らないでさ?
 俺の前で好きな奴がいること話してくるし。
 俺、好きな奴に“お前だよ”って言えなくなるわ…』





『その上、恋愛に夢や理想なんか持っちゃってさ。
 マジで本当にガキくさいったらありゃしないよ』







俺の話を黙って聞いていた由香、ポカーンとした顔、開いたままの口。



本当にバカっぽい顔ー…



色気の色の字さえ感じられない、そんな顔なのに。

なんで俺は好きなんかね……









『けど、俺は知ってるからさ。

 いっつも自分のことよりも他人を優先するところとか、困ってる奴がいるとすぐに助けてやるところとか…。

 辛い時も悲しいときも苦しいときも、いつも他人に余計な心配や不安を与えない為にも無理して笑うところとか。

 他人のことなのに、まるで自分のことのように泣いたり、怒ったり、笑ったりするところとか。

 すっげー好き、いいところも悪いところも全部、そいつだから愛しいと思えるんだ』





俺は由香を見つめながら話す。





気付いた?


俺、今、お前に遠まわしに告白してるつもり。




全部、ずっと隣でお前を見てきたから言える、好きなところ。









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