遠い記憶の中で
私達がそこの近くから引っ越したのは私が小学校低学年の時だった。



おばあちゃんと一緒に住んでいたのだけれど、その祖母が亡くなり、私たちはもう少し都心へ近い所へ引っ越すことにしたのだ。


私達の新しい生活は家族4人で始まった。



私、3歳上の姉、母、そして父だった。


死んだ祖母はお父さんのお母さんだった。



お父さんが私達に隠れて泣いているのを後ろから見てしまった記憶がある。



でも、それは確か自分達の家の中だったのに、たまにそれを思い出すと、お葬式が行われた近くのお寺だった様な気もしてくるのだった。



子供心に、見てはいけないものを見てしまったと思ったのは、はっきりと覚えている。


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