愛の答
自暴酒
現れた深雪に頬を叩かれた。
今まで、喧嘩はわりとしてきた方だが、叩かれたのは初めてだった。
『・・・え?何?』
俺は手の甲で頬を拭いながら深雪に言った。
深雪は泣きじゃくる沙梨を抱いて、
『ごめんね、ごめんね?少しの間、お家の中に居てもらえるかな?』と、
沙梨を家の中へ促した。
すっと深雪は立ち上がり言うのだ。
『失望したよ』
『・・・は?』
『沙梨ちゃんが私達の元へきてからの拓に不信感を抱いていたけど、言葉にはしなかったの。けど、今のはありえないよ』
『え、つうか・・・は?ぜんっぜん意味わかんね。
俺達の子供じゃねぇんだぞ?さっきも言ったように変に情移すなよ』
俺の眼光が深雪を貫く。視界に映ったのは・・・
『なんだよ、ふざけんな』
深雪が泣いた。
『泣くところじゃねぇだろ!?マジでわけわかんね!』
『もう、やってけないじゃん?』
『はぁ!?』
『たとえ私達の子供が出来たとして拓はちゃんと育てていく自信あるの!?』『そりゃ・・・自分の子供ならな』
『嘘だ。一つも響かないよ。だっておかしいって!相手は三歳児だよ!?』
ガン!と、鈍い音が家の庭に小さく響いた。
俺は持っていた洗車用具を地面に叩きつけ、
『うぜぇよ』そう言い残して車に乗り込み走り出した。
急発進しながら大きめの舌打ちをした。
ルームミラーを覗くと、しゃがみ込んで泣いている深雪の姿を端で捉えた。
『よぉ、目茶苦茶久しぶりだよな!?小野さん、嫁さん出来てからマジで付き合い悪いし』
『はは、わりぃな。一斗は?』
『仕事だってさ。日曜日だってのにね。五時までって言ってたから、
まぁ、あと数十分程度でしょ』
久々にテルと会った。テルは高校時代の友人だった。
当時は悪友としてよく一緒に居たが、テルの言う通りここ最近は久しく会っていなかった。
自宅を我を忘れて出てきた後、行く宛もない俺はテルに連絡をして合流を約束したのだった。
場所は書店屋の駐車場。
そう、沙梨に本を買ってやった本屋だ。
『何、久々にはっちゃけたくなったの!?』
『いや・・・別に』
『喧嘩でもしたんだろ?』
変に鋭いツッコミを入れるテルにドキッとしたが、冷静になれば
一つも鋭くない・・・妥当な質問だったと気付いた。
『違うよ。たまにはいいかなって・・・あいつの承諾も得てきた』
『・・・はぁ、今の嘘だね。小野さん顔に出やすいし、嘘付けない奴だからすぐ分かるよ』
テルが鋭いのではなく、俺が鈍いのだと気付かされた。
『う、うるせぇな。おい、今日はとことん付き合えよ?』
暫くしてから一斗がきた。一斗もテル同様、高校時代の友人だった。
『うっす、久々。一斗、お前変わんないな?』
『そうかな?てか聞いてよ俺の話』
『あぁあぁ、飲み屋で聞いてやるよ』
如月の寒空の下。男三人で居酒屋に入る。
居酒屋に入り、座り込んだ早々、
『あぁ!女欲しい!』と、テルが言った。
『あれ?高校の時に付き合ってた子は?別れたのか?』
『それいつの話?誰だか覚えてないよ』
『最低だなお前。今、俺は汚物を見ている気分だ』
『社会人だし、車も金も出来たんだし、普通でしょ?俺から言わせれば、
小野さん夫婦が稀少なんだよ』
店員が注文を取りにきたので、三人ともビールを頼んだ。
御絞りで手を拭きながら答えた。
『馬鹿、俺は何事も一途なんだよ』
言った瞬間、深雪の泣き顔が脳内にフラッシュバックした。
二人に気付かれないように小さく息を吐く。
『一斗は女出来たのか?』
一斗はにやけながら、『付き合ってもうすぐ三ヶ月かな』と、答えた。
『マジ?一番楽しい時期だな。・・・はぁぁ』
テルが水を吹きだした。
『っははは!何?小野さんそのため息?マジウケる!
結婚した事後悔してるの?』
『そんなわけないだろ』
俺を悩ませているのは、全く別問題。突発的に二人を呼んでみたものの、
安易に話せる内容ではないと二人の顔を見て再認識した。
『・・・はぁぁ』再度の俺のため息に二人は爆笑していた。
『でも、拓也は凄いよな?』と、一斗が言った。
『え?何が?』
『そのさっきも言ってたけど・・・一途精神?みたいな。
付き合ってきた女の数一桁でしょ?』
『そうだな。今の嫁と付き合って、かれこれ....四年近くか。
てか、お前等はどれくらいの人数と付き合ってんのよ?』
テルが答えた。
『はは、それは教えられないよ』
『何で?』
『じゃあ、聞くけどさ。小野さんは星の数を数えた事があるのかい?』
『こ、こいつ・・・』
色んな意味を込めてテルの脛を蹴った。
今まで、喧嘩はわりとしてきた方だが、叩かれたのは初めてだった。
『・・・え?何?』
俺は手の甲で頬を拭いながら深雪に言った。
深雪は泣きじゃくる沙梨を抱いて、
『ごめんね、ごめんね?少しの間、お家の中に居てもらえるかな?』と、
沙梨を家の中へ促した。
すっと深雪は立ち上がり言うのだ。
『失望したよ』
『・・・は?』
『沙梨ちゃんが私達の元へきてからの拓に不信感を抱いていたけど、言葉にはしなかったの。けど、今のはありえないよ』
『え、つうか・・・は?ぜんっぜん意味わかんね。
俺達の子供じゃねぇんだぞ?さっきも言ったように変に情移すなよ』
俺の眼光が深雪を貫く。視界に映ったのは・・・
『なんだよ、ふざけんな』
深雪が泣いた。
『泣くところじゃねぇだろ!?マジでわけわかんね!』
『もう、やってけないじゃん?』
『はぁ!?』
『たとえ私達の子供が出来たとして拓はちゃんと育てていく自信あるの!?』『そりゃ・・・自分の子供ならな』
『嘘だ。一つも響かないよ。だっておかしいって!相手は三歳児だよ!?』
ガン!と、鈍い音が家の庭に小さく響いた。
俺は持っていた洗車用具を地面に叩きつけ、
『うぜぇよ』そう言い残して車に乗り込み走り出した。
急発進しながら大きめの舌打ちをした。
ルームミラーを覗くと、しゃがみ込んで泣いている深雪の姿を端で捉えた。
『よぉ、目茶苦茶久しぶりだよな!?小野さん、嫁さん出来てからマジで付き合い悪いし』
『はは、わりぃな。一斗は?』
『仕事だってさ。日曜日だってのにね。五時までって言ってたから、
まぁ、あと数十分程度でしょ』
久々にテルと会った。テルは高校時代の友人だった。
当時は悪友としてよく一緒に居たが、テルの言う通りここ最近は久しく会っていなかった。
自宅を我を忘れて出てきた後、行く宛もない俺はテルに連絡をして合流を約束したのだった。
場所は書店屋の駐車場。
そう、沙梨に本を買ってやった本屋だ。
『何、久々にはっちゃけたくなったの!?』
『いや・・・別に』
『喧嘩でもしたんだろ?』
変に鋭いツッコミを入れるテルにドキッとしたが、冷静になれば
一つも鋭くない・・・妥当な質問だったと気付いた。
『違うよ。たまにはいいかなって・・・あいつの承諾も得てきた』
『・・・はぁ、今の嘘だね。小野さん顔に出やすいし、嘘付けない奴だからすぐ分かるよ』
テルが鋭いのではなく、俺が鈍いのだと気付かされた。
『う、うるせぇな。おい、今日はとことん付き合えよ?』
暫くしてから一斗がきた。一斗もテル同様、高校時代の友人だった。
『うっす、久々。一斗、お前変わんないな?』
『そうかな?てか聞いてよ俺の話』
『あぁあぁ、飲み屋で聞いてやるよ』
如月の寒空の下。男三人で居酒屋に入る。
居酒屋に入り、座り込んだ早々、
『あぁ!女欲しい!』と、テルが言った。
『あれ?高校の時に付き合ってた子は?別れたのか?』
『それいつの話?誰だか覚えてないよ』
『最低だなお前。今、俺は汚物を見ている気分だ』
『社会人だし、車も金も出来たんだし、普通でしょ?俺から言わせれば、
小野さん夫婦が稀少なんだよ』
店員が注文を取りにきたので、三人ともビールを頼んだ。
御絞りで手を拭きながら答えた。
『馬鹿、俺は何事も一途なんだよ』
言った瞬間、深雪の泣き顔が脳内にフラッシュバックした。
二人に気付かれないように小さく息を吐く。
『一斗は女出来たのか?』
一斗はにやけながら、『付き合ってもうすぐ三ヶ月かな』と、答えた。
『マジ?一番楽しい時期だな。・・・はぁぁ』
テルが水を吹きだした。
『っははは!何?小野さんそのため息?マジウケる!
結婚した事後悔してるの?』
『そんなわけないだろ』
俺を悩ませているのは、全く別問題。突発的に二人を呼んでみたものの、
安易に話せる内容ではないと二人の顔を見て再認識した。
『・・・はぁぁ』再度の俺のため息に二人は爆笑していた。
『でも、拓也は凄いよな?』と、一斗が言った。
『え?何が?』
『そのさっきも言ってたけど・・・一途精神?みたいな。
付き合ってきた女の数一桁でしょ?』
『そうだな。今の嫁と付き合って、かれこれ....四年近くか。
てか、お前等はどれくらいの人数と付き合ってんのよ?』
テルが答えた。
『はは、それは教えられないよ』
『何で?』
『じゃあ、聞くけどさ。小野さんは星の数を数えた事があるのかい?』
『こ、こいつ・・・』
色んな意味を込めてテルの脛を蹴った。