伸ばした腕のその先に
「ねぇ、美月ちゃん」
ドアをくぐりしばらくした辺り、一つの声に呼び止められた。
一人、こちらに手を挙げ小走りに駆けてくる。同じく講義を抜け出してきた口らしい。
「ねぇ、週末ヒマ? バイトとか入ってない? 良かったら合コン行こうよぉ」
私の数少ない友達、水崎亜紀はテンションも高く一気にしゃべり切る。
これだけ言葉を重ねればけたたましいはずなのに、なぜか不快にもならない不思議な子。
「いいよ、どうせ人数が足りてないんでしょ」
「ん~、そんなこともないんだけど、美月ちゃんみたいな綺麗どころが欲しいんだなぁ」
花の綻ぶような笑顔。小さな身長に、子犬のようなあどけなさを持った、明るい子。
誰とでも仲良くなれて、友達が多くて……それで、色んな人を忘れていく。
そんなことを軽々しくできてしまう亜紀を、私は少しだけ苦手になっていた。
「カッコいい子、一杯来るといいね」
二人は話をしながら歩みを進める。
「亜紀、どんな面子か知らないの?」
「知らない。それは語学の友達がやってくれるから」
そんなくだらない会話をしながら、亜紀はニパッとまた笑顔を振りまいた。
その眩さが少しだけしんどく、私は心を少し切り離し、客観的にその現実を眺めていく。
「そういえば、美月ちゃん顔色悪いけど、大丈夫?」
「うん、ちょっと寝不足でね」
「無理しちゃダメだよ、来れそうになかったらいってね」
下から見上げるような視線。亜紀の表情がさらりと心配そうなものへと変わる。
「ありがとう、気をつける。詳細が決まったら連絡してよ」
「うん、わかった。たぶん開始は十五時くらいだから、予定空けといてね」
「了解」
そうして会話は終了し、亜紀は離れていく。
手を振った後にパタパタと駆け出し、学食の方へと走っていく。
多分、他の友達との待ち合わせだろう。
私はそんな彼女を見送ると、先ほどの友人のことに思いを巡らしていく。
ドアをくぐりしばらくした辺り、一つの声に呼び止められた。
一人、こちらに手を挙げ小走りに駆けてくる。同じく講義を抜け出してきた口らしい。
「ねぇ、週末ヒマ? バイトとか入ってない? 良かったら合コン行こうよぉ」
私の数少ない友達、水崎亜紀はテンションも高く一気にしゃべり切る。
これだけ言葉を重ねればけたたましいはずなのに、なぜか不快にもならない不思議な子。
「いいよ、どうせ人数が足りてないんでしょ」
「ん~、そんなこともないんだけど、美月ちゃんみたいな綺麗どころが欲しいんだなぁ」
花の綻ぶような笑顔。小さな身長に、子犬のようなあどけなさを持った、明るい子。
誰とでも仲良くなれて、友達が多くて……それで、色んな人を忘れていく。
そんなことを軽々しくできてしまう亜紀を、私は少しだけ苦手になっていた。
「カッコいい子、一杯来るといいね」
二人は話をしながら歩みを進める。
「亜紀、どんな面子か知らないの?」
「知らない。それは語学の友達がやってくれるから」
そんなくだらない会話をしながら、亜紀はニパッとまた笑顔を振りまいた。
その眩さが少しだけしんどく、私は心を少し切り離し、客観的にその現実を眺めていく。
「そういえば、美月ちゃん顔色悪いけど、大丈夫?」
「うん、ちょっと寝不足でね」
「無理しちゃダメだよ、来れそうになかったらいってね」
下から見上げるような視線。亜紀の表情がさらりと心配そうなものへと変わる。
「ありがとう、気をつける。詳細が決まったら連絡してよ」
「うん、わかった。たぶん開始は十五時くらいだから、予定空けといてね」
「了解」
そうして会話は終了し、亜紀は離れていく。
手を振った後にパタパタと駆け出し、学食の方へと走っていく。
多分、他の友達との待ち合わせだろう。
私はそんな彼女を見送ると、先ほどの友人のことに思いを巡らしていく。