伸ばした腕のその先に
 週の末日である今日、私――如月美月が訪れていたのは献花台があった場所。
 私と陽くんと、大勢の人が巻き込まれ、私だけが生き残ってしまった事故の献花場所だった。

(そっか……もう半年も経ったんだよね)
 すでに備えられていた花々に視線を移す。
 元は色とりどりの花、それも今では無残にも萎れ、その枯れ果てた身を伏している。

(でも、忘れられたのは、もっと前だったよ)
 けれど、私は思ってしまうのだ。
 哀しいのは人が亡くなってしまったこと以上に、それが過去になってしまったことなのだと。
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