伸ばした腕のその先に

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 電車で一時間、さらにバスに二十分間揺られて、私はようやく大学のキャンパスへと降り立った。
 すし詰め状態のバスからはぞろぞろと人があふれ出し、私も流れに乗ってキャンパスへとなだれ込んでいく。

(多いなぁ)
 門をくぐった辺りで、今更ながらに周囲の人の多さに驚いてしまう。
まだ学期初のためか、キャンパスにいる学生の数は少ない時の三倍以上はいる気がする

 都心から離れた、微妙な田舎。
 そこに存在する、打ちっぱなしのコンクリート風の外壁をした大学校舎たち。

 どこかの著名な建築家が設計したというそれも、見る人が少なければ威厳や風格もあまり感じられはしない。

 私の通う大学は、学部によりいくつかのキャンパスに分かれていることや、通学には結構時間がかかることもあり、普段は学生の数がそんなに多くはない。

 でも、まだ新学期からのやる気を失うには微妙な時期のようで、
 辺りには、まだ大学生になりたての、お洒落に気合の入った学生が充満している。

(まぁ、あと一ヶ月もしないうちに半分になるんだけどね)
 新入生らしき集団を横目に、指定の教室に入ると後ろの方の椅子に座った。
 そして、始まったばかりの授業を受けるためルーズリーフとシャーペンを机に並べる。

 ぼんやりとした面持ちで講義を眺め、機械のように条件反射でノートを取る。
 大学での生活なんてそんなものだ。
 教室の前方では、講師が数式を生真面目に書き出していた。

 教科書を読めばほとんど理解できてしまうその授業は、もちろん出席人数は少なく皆のやる気も低い。
 単位のため、それ以上でも以下でもない。

 私もまた、そんな講義にすでに聞き飽きていた。
 小さくため息をついた後、音をたてないように筆記用具を片付け、カバンを肩にかける。
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