俺様社長の飼い猫
《紫音side》

1日の仕事を終え、マンションに戻ったのは、午後9時を過ぎて。

「…スズ?」

ドアを開けたが、中は真っ暗。

電気を付け、奥に進んで行くも、やはりスズの姿は無かった。

…出て行ってしまったんだろうか。

…ここにいなければならない理由は、スズにはない。

そう思えば納得いくが、心では納得出来ないでいた。

大事な物を失ったような、心にぽっかりと穴が空いたような、虚しい気持ちになった。

…その夜、ベッドの中にいるはずのスズがいなくて、なかなか眠りにつくことができなかった。

……。

ほとんど眠れぬまま、朝を迎えた。

ずっと…仕事をしていても、スズの事が頭から離れない。
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