俺様社長の飼い猫
…スズは、帰る家がないと言っていた。

…それじゃあ、どこに帰った?

…オレが心配することじゃないのはわかってるはずなのに。

スズの泣いてる顔しか思い浮かばなくて、心配でたまらない。

「…社長!」
「…ぁ、すまない。で、とうした?」

仕事中にも関わらず、ぼんやりしているのは、これが初めての事。

安堂は心配そうに、オレを見つめた。

「…体調が悪いのですか?」
「…いや、至って健康だ」

「…拾った猫と何か?」
「…」

安堂の言葉の意味が直ぐに理解できて、つい、黙り込んだ。

「…野良猫なんですから、社長がお気になさることではありません」

その言葉にすら、返事は出来ず、安堂は溜息をつき、書類を置いて、部屋を出て行った。
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