俺様社長の飼い猫
オレは慌ててスズの腕を掴んだ。

「なぜ出ていく必要がある?」
「だって!」

オレに背を向けたまま、スズが言った。

「だって…同じ会社の、しかも、社長と社員が、同じ屋根の下で、暮らすなんて…誰も認めないし、それに、バレたりしたら、紫音さんに迷惑がかかる」

「…だから?」

オレの言葉に、スズが驚き顔で振り返った。

「オレがいいと言ったんだ。他に誰も認める必要はない」

「でも…」

「…同じ会社で働いてるとは驚いたが、返って好都合だ。スズが、オレの傍にいるという事だろ?何があっても、守ってやれる」

そう言って、微笑んで見せた。

「良からぬ噂がたちませんか?紫音さんは、社長だから、こんな私とじゃ」

「…その言葉、禁止」
「…え?」
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