俺様社長の飼い猫
…紫音の言葉に、少し渋ったけど、確かに、社会人としての身だしなみは、ちゃんとしないといけないよね。

そう思い、洗面所に向かった私は、数少ない化粧道具で、化粧を施した。

ポーチに化粧品をしまい、カバンを取りに、再びリビングに行くと…行った筈の紫音が、ソファーに座って、こちらに視線を向けた。

…驚き顔で、私を見る紫音。

…方や、困惑顔で紫音を見る私。

…数秒の沈黙の後、紫音はスッと立ち上がり、こちらに近づくなり、私の頬にそっと触れた。

「…一瞬、誰だかわからなかった」
「…」

…そんなに変な顔だっただろうか?
困惑顔から、不安な顔になる。

すると、紫音は優しい笑みを浮かべ、こう告げた。

「スズは、化粧栄えする顔だって言いたいんだ。凄く綺麗だよ」

その言葉に、ボッと、顔が赤くなった。
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