俺様社長の飼い猫
その顔を見て、紫音はフッと笑った。

「…こんなに綺麗だと、男が放っておかないな」

「そ、そんな事!」

赤い顔のまま首を振ると、紫音は私の顔を両手で静止して、ジッと見つめた。

…コツンと当てられたおでこ。

…一緒に寝ている筈なのに、何度も抱き締められてる筈なのに、この行動に一番ドキッとした。

瞬きしながら、紫音を見上げる。

「…他の男には、くれぐれも気をつけるように。…わかった?」

その言葉に、小さく頷くと、紫音は納得したように、笑みを浮かべ、やっと私から離れた。

そして、一緒に家を出て、…それぞれ別の道を行く。

「…スズ」

駅に向かう私を紫音が呼び止めた。

「…どうしたんですか?」
「オレが帰ったら、笑顔でおかえりって言ってくれよ」
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