俺様社長の飼い猫
《紫音side》

「…東郷社長」
「…なんだ?」

走る車の中、安堂がオレに問いかけてきた。

「…猫に出逢ってからからの社長は変わられましたね」

「…お前には関係ないだろ」

外に視線を向けたまま、呟く。

「関係大有りです」
「…何?」

車内のミラーに映る安堂の瞳を睨み見た。

「…秘書として、社長が心配なんです。…猫に深入りし過ぎて、今の地位を失いはしないかと」
「…仕事には、何の支障もない」

「…本当にそうでしょうか?」

ミラー越しにオレを見た安堂。

「…心配ない」

そう、オレは言い切った。

「…役員の一部で、良からぬ動きがあってでもですか?」
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