俺様社長の飼い猫
「…大丈夫だ、オレがいる」

そう呟けば、スズの目は潤み、少しだけ笑みを浮かべた。

その顔を見て、ホッと安心する。

「…社長、お時間が」

安堂の言葉に、やっと頷いたオレは、外へと歩き出した。

…車に乗ると、安堂が言った。

「…先程の女子社員、一体誰ですか?」

「・・・・」

化粧をしてるスズを見たのは、安堂は初めてだったな。

ましてや、この会社に、スズがいる事自体驚くだろう。

…オレですら、驚いたんだ、スズがここの社員だと言う事に。


「…オレの猫だ」
「?!!」

…安堂は驚きすぎて、急ブレーキをかけた。

「バカ!オレを殺す気か?!」

そう怒声を浴びせる。

「す、すみません・・・ご冗談が過ぎます、東郷社長」

「…冗談に聞こえたか?」

無表情に応えると、安堂は、これが冗談ではない事が分かったようだ。

「捨ててください、そんな猫」
「…バカな事を言うな」

「しかし、社長が危険な目に・・・」
「お前に指図されるいわれはない!…あれは、どんな物より大事な猫だ」


「・・・社長、まさか…猫の事を」
< 42 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop