俺様社長の飼い猫
安堂の言葉に、眉をひそめる。

「…まだ、お気づきではないんですか?」
「・・・何に?」

「…いえ、すみません、何でもありません」

ふぅっとため息をついた安堂は、再び、車を走らせた。


・・・・・・・・・・・。


すべての仕事を終わらせ、マンションに戻ったのは、午後11時。

部屋の明かりは点いていた。

…スズは、もう、眠ってしまったのか?

…それとも、前と同じように、この部屋にはいないのか?

そう思うと、自然と早足になっていた。

「…スズ」


…オレの不安は当たらなかったようだ。

スズは、リビングのテーブルで眠っていた。

そのテーブルの上には、沢山の料理が並べられていた。

自分も食べずに、オレの帰りをずっと待っていてくれたようだった。

「…ん、美味い」

スズの料理は、とても美味しかった。


…これじゃあ、まるで、夫の帰りを待つ新妻…だな。

そう思うと、笑みがこぼれた。



スヤスヤと眠るスズを抱きかかえたオレは、寝室へと運んだ。
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