俺様社長の飼い猫
…そんな柏木部長を睨む紫音。

柏木部長は何も言えず、その場を後にした。

「…スズ、大丈夫か?」

それに答えるように頷いた。

私を見て、紫音は安堵したように溜息をつく。

「…家に、忘れ物をしてて良かった」
「…え?」

「これから大事な会議があって、外から社に戻るところだったんだ。でも、大事な書類をマンションに忘れてて、取りに寄ったらこんな事になってて」

「ごめ…」

ハッとして、謝ろうとする私の唇に、紫音が指を当てた。

「スズのせいじゃないだろ?謝るな」
「…でも」

「…それより、1人でここにいられるか?…怖くないか?」

その言葉に黙り込む。

紫音は会議をすっぽかすわけにはいかない。…無理は言えない。
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