俺様社長の飼い猫
5.お前はオレだけの猫
あれから、もう、1年が経とうとしていた。

私は、自ら紫音の前から姿を消した。

柏木部長の紹介は、断った。

会社を辞めるのなら、この会社、全ての人との関わりを絶ったほうがいいと思った。

…今は実家にいる。

突然帰ってきた私に、両親は何を言うでもなく、笑顔でお帰り、そう言ってくれた。

…しばらくは、何も手につかず、自分の部屋に閉じこもっていた。

そんな私を見兼ねた父が、家の仕事を手伝わないかと提案してくれて、このままじゃダメだと思い、両親が経営する花屋の手伝いを始めた。

…花が、私の病んだ心を癒してくれた。

そのおかげか、日に日に笑顔が出せるようになった。

「スズ、今から配達に行くんだが、一緒に行かないか?」

父の言葉に頷き近寄って驚いた。
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