俺様社長の飼い猫
「…凄い花の量だね、お父さん」
「…あぁ。近くのホテルで、パーティーがあって、飾り付け用の花らしい」

父の言葉を軽く聞き流していたのが行けなかった。

『東郷エンタープライズ創立記念パーティー』

「…」

私は言葉を失い、その場に立ち尽くした。

まさか、こんな偶然があるなんて、思いもしてなかった。

「…スズ?」

心配顔で私を見つめる父。
私はハッとして、作り笑いを浮かべた。

「…何でもない。早く仕事しよう!沢山あるんだから」

そう言うと、車の後ろから、花を取り、ホテルの中へ。

溜息をついた父も、仕事を始めた。

…大丈夫。まだ準備が始まったところだもの。紫音は、ここにはいない。

そう自分に言い聞かせた。
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