俺様社長の飼い猫
《紫音side》

…もう、あれから一年が過ぎた。

スズがいなくなって、あらゆる手を使って探し回った。

それなのに、スズはどこにもいなかった。
「…社長、もういい加減、猫の事は、忘れたらどうですか?」

安堂の言葉に耳を傾ける事も出来なかった。

…自分は社長だ。私利私欲の為に、会社を潰すわけにはいかない。

数千人の社員を路頭に迷わす訳にはいかない。

…副社長が、オレを社長の座から引きずり降ろそうとしている事もあり、オレは仕事に没頭した。

…でも、どこかでスズを忘れる為に、仕事に没頭していたのかもしれない。

< 60 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop