俺様社長の飼い猫
仕事はこんなにも、順調に進んでいるというのに、心にはぽっかり穴が開いたまま。

ただ、虚しく時間だけが過ぎていく。

「…スズ、どこにいる?」

屋上で1人、そんな事を呟いた。

「…社長」

その声の主に、聞き覚えがあった。

オレはそっと振り返り、眉間にしわを寄せた。

…柏木聖司だったからだ。

「…今頃何の用だ?」
「…スズの事です」

柏木の言葉に、思わず柏木を睨んだ。

「…まだ、スズの事が、忘れられないんですね」
「…」

「…なぜ、スズが社長の前から姿を消したか、お分かりですか?」

その言葉に言い返す事が出来なかった。

「…全て、社長、貴方のためです」
「…なっ⁈」

驚くオレに、柏木が全てを話した。

話し終えたと同時に、オレは柏木の胸ぐらを掴んでいた。
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