俺様社長の飼い猫
《スズside》

…結局、紫音の姿を見る事なく、私は店に帰った。

動揺した気持ちを切り替えようと、仕事に没頭した。

会合の為、両親は出かけて行き、私は1人、後片づけ。全てを終えたのは、夜の10時になろうとしてた。

店のシャッターを閉めようと、手を伸ばす。

「…もう、店は終わりですか?」
「すみません、もう…」

慌てて振り返ると、そこには絶対いるはずのない人が立っていた。

「…やっと見つけた、スズ」

前と変わらない低くて優しい声。

「…どう、して」
「会社の事は、もう何も心配しなくていい。迎えに来た。…それとも、もう、オレのことなんて、忘れたか?」

…忘れるわけない。…ずっと、心の中から、いなくならない、愛しい人。

「…紫音」
「…もう、何があっても離さない」

そう言った紫音は、私をギュッと抱きしめた。

私も、それに応えるように、紫音を抱きしめ返した。

「…一生オレの傍にいろ…いや、いてくれ。…結婚しよう、スズ」

「…はい」

涙を流しながら、それに答えた。

「もう、ずっと紫音の傍を離れないから…」

私の言葉に、紫音は微笑み、私に優しくキスを落とした。




end



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